【ALBUM】 Gradation
【ALBUM】 Gradation
坂田学、ソロアルバム登場!
ドラム、エレクトロニクス、ギター、ヴォイス、全ての音を重層的に独奏。
官能的かつオーガニックなエレクトロ+生アンビエント!
収録曲
RECORDING MUSICIANS
produced & composed by Manabu SakataManabu Sakata : Drums, Electronics, Guitar, and Voice
Pianica Maeda : Sampling Voice
Izumi "Dub Master X" Miyazaki : Recording & Live Dub / Mixing
Recorded at Grapefruit Moon, Sangenjaya,Tokyo. Nov.18 2004
Mastered by Kazuyuki Matsumura a.k.a. ZAK at St-robo.
坂田学「Gradation」が、
スタジオヴォイス2008年8月号
「アンビエント&チルアウト 環境音楽のすべて」特集において、
「still ambient 30 まだまだアンビエント30」 に選出されました!
坂田学 2005年のgradation
西暦2000年代に突入以降、ミュージシャン・坂田学の表現活動は急速に進化/深化を遂げていて、2005年、その勢いが堰を切ったように溢れ出した。
ソロ活動の本格的なスタートである。
ここに至るまでの、彼のキャリアには、常に、歌とリズム、ポップと前衛、といった二面性が存在し、その相反する要素が、新たな音を生み出してきた。現在の日本において、歌に対して最も優しいドラマー、それが坂田学であり、その一方で、最も先進的なアプローチを試みているのもまた、坂田学なのである。
原田郁子、畠山美由紀、ハナレグミ、森山直太朗、ポラリスといったアーティスト達の歌のバックを務める際のドラミングとリズムのあり方は、オール・フォー・ソング、歌のために奉仕するスタイルを徹底して貫く。溢れるほどの歌ごころ。どこまでも歌に寄り添うそのリズム。限りなく歌に優しく、そうしていて、実は、音楽を主導してゆく。
一方で、実験的な活動も数多く行っている。ひとり多重演奏によるソロ活動の活発化。坂田明、シム・オルークのユニット、サカタ・オルークにも参加。その圧倒的なパフォーマンスの裏には、坂田明の実子であるという血筋もさることながら、ジャズ、ワールド、ロック、ポップス、あらゆるジャンルでの深い経験が生きている。スネアの連打だけで、歌のメロディーを感じさせ、もっと言うと、歌詞まで頭の中に鳴り響かせることの出来るドラマー、それが坂田学だ。
彼のソロ・キャリアにおいて、2005年は、ターニングポイントとなった年として、記録されることだろう。以下のように、数多くの出来事が、起こっている。
・DVDのサウンドトラックとして制作された音源をまとめ、フルサイズバージョンや未発表曲を加えたCD 「Music for Nyancos」リリース。
・初の本格的なソロライブ、何かが誕生する瞬間をとらえたCD「Solo Live at Penguinhouse」リリース。
・初期ソロライブのひとつのプロトタイプとしてのCD「gradation」リリース。
・秋に開催される、初の全国6カ所ソロツアー
・そして、何よりもまして雄弁に彼の音楽と歌心を象徴しているのが「リズムであそぼう」収録の「リズム リズム リズム」であろう。ジム・オルークのアルバムEureka収録の「Prelude To 110 Or 220/Women Of The World」(もしくは、ロバート・ワイアットの中期以降)を彷彿させるうたものの傑作である。
うたものの傑作を生み出すことの出来るポテンシャルを持ちつつ、その一方で、ノイズぎりぎりの、前衛的な世界を作り出す、両面性。海外では、ジム・オルーク、ロバート・ワイアット、ブライアン・イーノなどが開いてきた道を今、坂田学は歩もうとしている。彼にしかできない楽曲とスタイル、そして肉体性で。それがノイズでも、リズムでも、すべてが「歌」を指向している、そんなスタイルが、坂田学の音楽だ。
そして、初期ソロ作の、もっともメランコリックな作品が「gradation」である。そこには、おおきくうねる命の流れのような、有機体、愛、ひかり、波、純粋な音 がある。
2000年代に突入してから、音楽は大きなムーブメントを失った。70年代のロック〜パンク、80年代のニューウェーヴ、90年代のグランジ。そうした時代を象徴するような音楽のあり方はもはや無いのかも知れない。時代を象徴する音楽ジャンルが存在しない代わりに、インターネット上で、手軽にジャンルを横断して曲を選ぶことが出来る時代。
坂田学の音楽は、そんな2000年代だからこそ、私たちの心に染み入ってくる。なぜなら彼自身が、完全にボーダレスな場所から音を制作しているからだ。
私たちは、坂田学のソロ作を聴きながら、2000年代のいまだからこそありえた、あたらしいかたちのポップミュージックの誕生に立ち会っているのかも知れない。
(nowgomis Records A&R、スザクミュージック代表 平田和彦)
坂田学 プロフィール
■1973年12月12日生まれ、埼玉出身。
■1996年、ピラニアンズに参加、プロ・キャリアスタート。
■以後、ハナレグミ、UA、wyolica、原田郁子、畠山美由紀、bird、森山直太朗など数多くのアーティストのレコーディング、ライヴに参加。
■2001〜2005年、Polarisに正式メンバーとして参加。
■1998年より活動のBossa Pianikitaでは「IL CIELO(2001)」「ピアニダージ(2003)」と2枚のアルバムをリリースしている。
■2001年にmini album「lounge rock?」をリリースして現在活動休止中のsapotenで作詞作曲を始める。
■近年ひそかに再注目されてきているgazelleではアルバム「scenic zone」を坂田明と共同プロデュースし主にアコースティック・ギターを担当。
■サウンド・プロデューサーとして湯川潮音のアルバム「うたのかたち」(2003)に参加。ヨシヤス監督作品「ニャンコス」(2003)のDVDではオリジナル曲を提供し音楽全般をプロデュースしている。
■2004年よりソロ・アーティスト活動を開始。
■2005年6月10日 初のワンマンsolo live(東京/三軒茶屋 グレープフルーツ・ムーン)は、チケットが即日sold-outの大盛況となる。センターステージでのsolo live パフォーマンス は今後の表現活動に大きな可能性を見いだした。
■2005年6月、フル・プロデュース作品 / OSTアルバム「Music for Nyancos 〜 Hello ! Brilliant future」をリリース。
■9月、「Solo Live at Penguinhouse」「gradation」の二枚のアルバムを連続リリース。
■10月から11月にかけて、全国6カ所で初のワンマンソロツアー敢行。
■2006年からは復活中のピラニアンズのメンバーとしても活動中。